研究課題
ヒト染色体転座t(11;22)(q23;q11)は、反復性非ロバートソン転座のひとつである。本研究代表者はt(11;22)転座の11番、22番両染色体の切断点にはpalindromic AT rich repeat(PATRR)と呼ばれるAT含量の多い回文配列が存在することを報告し、それが「十字架型」DNAの立体構造をとるためゲノムが不安定になることが本染色体転座の原因であることを提唱している。また、研究代表者は1分子検出感度の転座特異的PCRを用いた実験によって、ヒト精子において新生t(11;22)が検出され、他の体細胞では検出されないことを報告した。しかし、ヒト卵子は同じ方法で新生転座の発生の有無を調べることができない。そこで、本研究では、十分なインフォームドコンセントの取得後、ヒトt(11;22)均衡型新生転座保因者とその両親のゲノム解析をおこなった。転座切断点周囲の多型解析の結果、新生転座はすべて父親由来であることが判明した。このことから、t(11;22)新生転座はヒト精子形成過程においてのみ発生することがわかった(Ohye et al. 2010)。また、22番染色体の転座切断点には多型があり、健常男子の配列多型と、精子中の新生転座頻度との関係を調べた。その結果、多型は新生転座頻度に影響を及ぼし、回文配列が長くて対称的であるような配列ほど、新生転座発生頻度が高いことが判明した。この結果は、これまでに11番染色体の転座切断点多型で報告してきたデータと一致し、転座切断点のPATRR配列が精子形成時に十字架型の2次構造をとることを間接的に証明した(Tong et al. 2010)。
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