研究課題
ある同一の遺伝子内の異なる変異が、異なる表現型を呈する別個の疾患の原因となる現象をアレル親和性allelic affinityと呼ぶ。アレル親和性の分子基盤の理解には、各疾患の分子病態の解明が必要である。我々は、転写因子SOX10の変異が、アレル親和性効果によりWS4とPCWHの2つの異なる疾患を引き起こすことを明らかにし、in vitroでの分子病態解析により、SOX10におけるアレル親和性の分子基盤を明らかにしてきた。本申請では、さらにBACトランスジェニック(Tg)マウスの手法を用いてPCWHの組織細胞レベルでの分子病態を明らかにし、in vivoでのSOX10のアレル親和性の分子基盤を解明することを目的とする。本年度は、Evaluation-PCWHマウスモデルの評価、およびDissection-PCWHマウスモデルの病態の解明の2点について研究を行った。PCWHマウスモデルの評価については、表現型がTgコピー数依存的に変化することを見いだした。PCWHマウスモデルの病態の解明については、胎生期の末梢神経系の発生期におけるシュワン細胞の分化の異常、生後の中枢神経系のオリゴデンドロサイトの成熟の遅延などの所見が得られ、本モデルマウスの神経学的な病態が明らかになった。また、末梢神経系の解析を開始し、髄鞘化の遅延を示唆する所見が得られた。
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