研究概要 |
本年度は紡錘形細胞肉腫のうち平滑筋肉腫および悪性末梢神経鞘腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋標本を収集し主に免疫染色を行い,臨床病理学的事項との比較により、以下のような結果を得た。平滑筋肉腫についてはWestern ttingによる解析も行った。隆起性皮膚線維肉腫および粘液型悪性線維性組織球腫(粘液線維肉腫)については標本を収集し、臨床病理学的事項を解析中である。 [平滑筋肉腫]130例の平滑筋肉腫の症例について臨床病理学的事項を解析した。組織型とStageは予後と相関する因子であった。それらの症例のホルマリン固定パラフィン包埋標本に対してPTENおよびAkt,mTOR,S6RP,p70S6K,4E-BP1,MEK,Erk1/2,STAT3のリン酸化型、また増殖能の指標としてのMIB1の免疫染色を行なった。MVDの計測のためにCD31の染色も行った。Akt,S6RP,STAT3については、凍結標本においてWestern blottingを行い、タンパク量を評価した。MIB-1標識率の高い群、リン酸化STAT3低発現例は予後不良であった。またリン酸化AKT-mTOR-S6RP発現およびリン酸化mTOR-4EBP1発現の間に相関を認めた。 [悪性末梢神経鞘腫瘍]:129例のホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いてリン酸化Akt、リン酸化mTOR、リン酸化S6RPのほか、増殖能の指標としてのMIB-1、MVD計測のためのCD31の免疫組織化学染色を行い、染色結果の評価ならびに臨床病理学的事項との相関を解析した。リン酸化Akt、リン酸化mTOR、リン酸化S6RPの発現にはそれぞれ有意な相関がみられた。リン酸化Akt発現はMIB-1 labeling index高値と相関していた。また、リン酸化Akt、リン酸化mTOR、リン酸化S6RPの発現はそれぞれ予後不良と相関していた。
|