研究概要 |
1.平滑筋肉腫:AKT/mTOR pathwayについては129例(145サンプル)についてAkt,mTOR,S6,4E-BP1のリン酸化型のタンパク量と臨床病理学的因子との相関を評価した結果、良性平滑筋腫瘍と比べ有意にAKT/mTOR pathwayが活性化していること、および各タンパクのリン酸化が、核分裂像の数などの腫瘍増殖能に関連し、かつ予後不良因子となっていることが明らかとなった。また、39例の凍結標本においてAkt1,PIK3のmutation解析を行ったが、mutationは認めなかった。STAT3 pathwayについては免疫組織学的にSOCS3のタンパク量について解析を行い、悪性度の高い腫瘍ではSOCS3の過剰発現がSTAT3のリン酸化を抑制しているという結果を得た。また、ウェスタンブロット法にてタンパク発現を評価したが、免疫染色の結果を裏付ける結果であった。2.悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST):129例のホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いてp4E-BP1、p70S6K、pErk1/2、PTENの免疫組織化学染色を行い、pAkt、pmTOR、pS6RPの発現状況および予後との関連を解析した結果、p4E-BP1、p70S6K発現はそれぞれ、pAkt、pmTOR、pS6RP発現と正の相関を認めた。PTEN発現低下群ではp4E-BP1の発現が亢進していた。PTENの発現低下は予後不良と相関していた。MPNST細胞株6株を用いて上記リン酸化蛋白発現解析を行い、Akt-mTORシグナル伝達経路活性化株を同定した。3.粘液線維肉腫:90例(原発80例、再発10例)に対してpAkt、pmTORの免疫組織化学染色を行った。血管内皮細胞をcontrolとして染色結果を評価した。pAktは61例に陽性、29例に陰性、pmTORは45例に陽性、45例に陰性の結果であった。
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