研究課題/領域番号 |
21390113
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
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研究分担者 |
森本 純子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (20451396)
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キーワード | ケモカイン受容体 / リンパ球動員阻害 / インテグリン |
研究概要 |
Type IIコラーゲン免疫による誘導する関節炎(Collagen-induced arthritis ; CIA)を用いて、局所リンパ節における関節炎惹起に必須のTh17細胞の産生および動出(egress)に及ぼすosteopontinおよびtenascin-cとその共通の受容体であるα9インテグリンの機能を解析した。所属リンパ節では、免疫後、Conventional樹状細胞(cDC)およびマクロファージの一部がα9インテグリンを発現し、同時にそのリガンドであるosteopontinやtenascin-cを産生する。このautocrineやparacrineの機序による受容体とリガンドの相互作用により局所リンパ節では免疫後早期から、Th17細胞の分化、増殖に重要なIL-23やIL-6の産生が惹起され、局所リンパ節から関節への移動し、関節炎を惹起する。しかし、免疫後早期にα9インテグリンに対する阻害抗体を投与すると、IL-23やIL-6の産生が低下し、Th17細胞数が減少する。経時的に局所リンパ節におけるTh17細胞数を観察すると当初はTh17細胞が減少するが、第2回目の免疫後には、Th17細胞数が、逆に増加するという矛盾した結果が得られた。これは、所属リンパ節から病巣への効果細胞の動員に関与するケモカイン受容体CCR6の発現に変化が起こった為である。本年度の研究では、α9インテグリンに対する阻害公害を投与するとTh17細胞の産生が減少するばかりではなく、動員に必須なCCR6受容体の発現低下がおこり、その結果として、病巣への動員が阻害され所属リンパ節にTh17細胞が貯留するという事を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T細胞非依存性及びT細胞依存性の関節リウマチマウスモデルを用いて、病巣およびTh17細胞の分化・増殖が起こる局所リンパ節におけるオステオポンチン及びその受容体α9インテグリンの機能を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ動物モデルにおける検討が中心であるが、ヒトリウマチ患者におけるオステオポンチン(OPN)の役割を明らかにする為に、ヒトOPNをマウスに導入したニューマナイズドマウスを用いて抗OPN抗体の治療効果を検討する予定である。
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