マウス炎症性腸疾患(IBD)の発症感受性遺伝子の候補としてHVEM(TNFRSF14)を同定した。HVEMは疾患感受性であるC57BL/6系統において、そのmRNA発現が脾臓と腸管で極めて減弱していた。そこで、HVEMの人為的な発現回復がIBD発症を抑制できるかどうかを検討するために、C57BL/6系統HVBM遺伝子導入マウスで以下の実験を行った。β-actinプロモーター下に可溶型HVEM(sHVEM-Ig)を全身組織に発現させたsHVEM-Ig-TgマウスとOX40L-Tgマウスとを交配し、HVEM/OX40L二重Tgマウスを作製した。その結果、sHVEM-Ig/OX40L-TgマウスではIBD発症が有意に抑制された。また、疾患抵抗性系統であるBALB/c系統においてOX40L-TgマウスとHVEMの受容体であるBTLAを欠損したマウスを交配し、OX40L-Tg/BTLA欠損マウスを作成したところ、本来IBD発症がほとんどみられないBALB/c系統においてもIBDの発症が観察された。今後、HVEM-BTLA系がどのような機序でIBD発症抑制に関与するかを明らかにしていく予定である。
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