研究課題
前年度までの研究で、好塩基球が慢性アレルギー炎症の誘導や寄生虫感染に対する生体防御に非常に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。しかし、好塩基球がどのようにしてこれらの免疫反応に寄与しているのか、その分子メカニズムはよくわかっていない。前年度までの研究で、蛋白分解酵素トリプターゼの1種であるmMCP-11が好塩基球の分泌顆粒内に選択的かつ多量に貯蔵されているが判明している。そこで、mMCP-11遺伝子を昆虫細胞に発現させて、リコンビナント蛋白を精製し、マウスの耳介皮内に投与したところ、投与後4時間をピークとする浮腫が誘導され、それに一致して血管透過性の亢進が認められた。一方、不活性型mCP-11では浮腫・血管透過性の亢進は誘導されなかった。mMCP-11による血管透過性亢進はインドメタシン投与により抑制されたが、マスト細胞欠損マウスでも観察された。以上のことから、mMCP-11が生体内で炎症促進因子として機能することが判明した。また、好塩基球の細胞表面分子の解析から、NK細胞のマーカーであるasialo GM1が好塩基球にも発現しており、抗asialoGMI抗体をマウスに投与した場合、NK細胞だけでなく好塩基球も生体内から除去された。このことから、抗asialoGMI抗体で処理したマウスで観察される表現型を解釈する際に、NK細胞除去のみならず好塩基球除去による影響を考慮する必要があることが判明した。
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