研究課題
マウスの腹腔内に発がん剤アゾキシメタンを投与後に、硫酸デキストラン溶液を間歇的に反復飲用させることによって、大腸に多発性腫瘍を発症させるモデルにおいて、腫瘍が発生する時期に一致して、腫瘍部位において線維化が認められるとともに、線維化の程度と大腸発がん発症との問に相関があることを認めた。さらに、腫瘍部位での線維化へ骨髄由来線維細胞(fibrocyte)の関与していることともに、fibrocyteの腫瘍部位への集積をケモカインCCL3が調節している可能性を示唆する結果を得た。さらに、腫瘍部位に集積したfibrocyteが種々の血管新生因子を産生することで、新生血管形成を増強し、がんの悪性進展を促進する可能性を示唆する結果も得た。皮膚の打ち抜き損傷の治癒過程において、血流中の骨髄由来血管内皮前駆細胞 (Endothelial Progenitor Cells; EPC)が、治癒過程の皮膚の損傷部位に集積し、新生血管形成に寄与していると考えられている。しかし、損傷部位へのEPC集積過程の分子機構は不明な点が多かった。皮膚損傷部位で産生されるケモカインCCL5/RANTESが、EPCに発現しているCCL5のレセプターであるCCR5に作用することによって、EPCを損傷部位に集積させることを明らかにした。さらに、集積したEPCが血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor; VEGF)ならびにTransforming growth factor-β (TGF-β)を産生することで、新生血管形成をさらに促進することも明らかとした。これらの結果は、EPCの集積を促進することによって、CCL5が皮膚損傷治癒部位のみならず腫瘍部位での新生血管形成を増強する可能性を示していると考えられた。
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