すでに当該研究(21年度)により、世界に先駆けてハマダラカ唾液線に外来タンパクを発現・分泌することに成功していた。22年度はこの技術をさらに進展させ、蚊の唾液タンパクAAPPにルシフェラーゼを連結し準融合タンパクAAPP-Lucを唾液タンパクとして発現するトランスジェニック(TG)蚊の作製に成功した。このTG蚊がマウスを吸血するとAAPP-Lucがマウスに注入される様子がルシフェリンを基質とした発光により確認された。この結果は、唾液タンパクAAPPの生理学的機能解明、蚊の吸血活動のモニターリングを可能にし、引いては唾液腺に侵入したスポロゾイトの挙動を解明する有用な手段となると期待される。 また、唾液腺発現システムを用いてスポロゾイトに対する中和抗体を発現するトランスジェニック蚊の作製に着手した。熱帯熱マラリア原虫のCSPタンパクに対するモノクローナル抗体2A10を発現するハイブリドーマ細胞からmRNAを抽出し、重鎖軽鎖可変領域をコードしたcDNAをクローニングすることに成功した。来年度は熱帯熱マラリア原虫を伝播しないトランスジェニック蚊の作製を目指す。
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