研究課題/領域番号 |
21390127
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
野田 公俊 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60164703)
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研究分担者 |
清水 健 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70312840)
八尋 錦之助 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特任准教授 (80345024)
津々木 博康 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (40586608)
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キーワード | 腸管出血性大腸菌 / 受容体 / サブチラーゼサイトトキシン / BiP / ERストレス / Bcl-2 |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)が産生する新たな毒素Subtilase cytotoxin (SubAB)はStxの作用機構とは大きく異なり、小胞体中に存在するシャペロンBiPを分解し、その活性を阻害することによってERにストレスを起こし、細胞障害性を誘導すると考えられる。今年度は、1)HeLa細胞を用いて細胞障害機構を調べた。この毒素はBiP切断後、Bcl-2ファミリーのBaxとBakの構造変化を誘導し、ミトコンドリアの膜上でBax/Bakの会合体を形成し、このボアを使って、チトクロームcを放出させた。この放出されたチトクロームcが下流のcaspaseを活性化しアポトーシスによる細胞死を引き起こすことが明らかとなった。2)細胞表面にある毒素の受容体を免疫沈降法を用いて検出し、精製後、マス解析により同定した。結果、4つの膜蛋白質が毒素との結合に関与していた。特にインテグリンβ1のsiRNAによる発現抑制はBax/Bakの構造変化の抑制、これに続く、カスパーゼの活性を抑制したことから、受容体との結合が細胞致死シグナル伝達に深く関与していることが明らかとなった。3)SubABのマウスへの腹腔内投与により、個体レベルでの毒素の病原性を生化学的、病理的、分子イメージング法により解析した。結果、劇的な血小板減少、IL-6の増加、腎臓におけるメサンギウムの増加、更に、上部消化管からの出血を伴う炎症が明らかとなった。これらの成果はEHEC感染症におけるSubABの役割を理解する上で非常に重要な知見であり、予防・治療等に新たな道を拓く事にもつながるものと確信している
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