1.Legiooella pneumophilaのグルコース利用に関する研究 ヒトに肺炎をおこすLegionella pneumopbilaは、グルコースを添加しない培地でも増殖できるため、グルコースを呼吸にも発酵にも使わないとされていたが、申請者らは厳密なグルコースの測定により、試験管内増殖をする際にグルコースを消費することを明らかにした。さらにグルコース代謝は解糖経路ではなくEntner-Doudoroff経路によることを、酵素遺伝子欠損株の作成によって証明した。グルコースが利用できなくなった変異株も、試験管内では増殖できた。しかし興味あることにこの変異株は細胞内で増殖する能力を失っていた。レジオネラの細胞内増殖に何故グルコースが必須であるのか今後の課題である。 2.L.pneumophiIaのicmN遺伝子の役割についての解析 L.pneumophilaは細胞内で増殖するために1cm/Dotと呼ばれるタイプIV分泌系を作動させる。それを構成する遺伝子の一つであるicmNの欠損株はアメーバ内での増殖が悪いと報告されていた。申請者らはこの遺伝子が低温での本菌の増殖に必須なのではないかと考え検証した。icmNのプロモーター活性は37℃よりも25℃の方が高く、icmN欠損株は低温での試験管内増殖、アメーバ内増殖とも抑制された。まだその理由はわからないが、icmNが本菌の低温下での増殖に必要であることが明らかとなった。
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