研究課題/領域番号 |
21390132
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
松崎 吾朗 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (30229455)
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研究分担者 |
梅村 正幸 国立大学法人琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (90359985)
新川 武 国立大学法人琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (50305190)
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キーワード | インターロイキン17 / 細胞内寄生性細菌 / 感染防御 / 結核菌 / 腫瘍 |
研究概要 |
近年注目されている炎症性サイトカイン、インターロイキン(IL)-17Aが細胞内寄生性細菌感染に対する防御免疫に重要な役割を果たすことを申請者らは報告してきた。その解析では、IL-17ファミリーサイトカインのプロトタイプであるIL-17Aの遺伝子を欠損したマウスを解析に用いてきた。その結果以下の結果を得た: 1.IL-17A欠損マウスに結核菌を感染させ、慢性肺結核のモデルを作成して検討した。その結果、慢性期においても主要なIL-17A産生細胞はT細胞レセプターγδ型T細胞であること、約1年の観察期間では野生型マウスの8割が生存するのに対してIL-17A欠損マウスは全例が死亡することが明らかとなった。IL-17A欠損マウスでは肉芽腫形成が慢性期においても低下していた。したがって、IL-17は結核菌肺感染の慢性期においても成熟肉芽腫形成を介して感染防御に重要な役割を持つこと、そのIL-17Aは一般的なT細胞レセプターαβ型CD4+Th17細胞ではないことが明らかとなった。 2.結核菌抗原特異的にIL-17Aを発現するT細胞を、結核菌抗原HBHAと粘膜アジュバントであるコレラ毒素を用いた経鼻ワクチンで誘導することに成功した。BCGワクチンを接種したマウスに前記のIL-17A産生細胞を誘導することにより、肺結核初期の菌排除が増強した。したがって、IL-17産生細胞の誘導することにより、ABCGワクチンの肺結核に対する防御効果を増強できる可能性が示唆された。 3.IL-17が腸管で恒常的に発現され、腸管の細胞内寄生性細菌-(Salmonella Typhimurium)感染では感染直後の防御に関与することを昨年度に報告したが、この恒常的に発現される腸管のIL-17Aは腸管での感染防御能を増強する反面、腸管での腫瘍増殖を増強する可能性が示唆された。したがって、IL-17A誘導による細胞内寄生性細菌のコントロールを考える上で、副作用として腫瘍増殖誘導の可能性を念頭に置く必要性が明らかとなった。
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