研究課題/領域番号 |
21390135
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
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研究分担者 |
井上 誠 ディナベック株式会社, 事業開発本部, 事業部長 (30373541)
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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キーワード | HIV-1 / CTL / 中和抗体 / センダイベクター / ワクシニアベクター |
研究概要 |
抗HIVワクチンを開発するたあにはCTLと抗体の両方を誘導することが必要であると考えられる。さらに、抗HIV-1(Env)抗体の中でも、(1)中和抗体に高度耐性を示す臨床分離株(Tier2)を中和できる抗体、(2)Envに対して高親和性の抗体が重要であることが分って来た。昨年度に我々は、Envを発現するワクシニアLC16m8△株ベクター(m8△)でプライムし、センダイウイルスベクター(SeV)でブーストすることにより、従来の常識を覆して、CTLと抗HIV-1抗体の両方を誘導できることを示した。そこで、今年度は、この免疫法で誘導される抗HIV-1抗体の性質をさらに詳しく解析すること、本免疫法への免疫活性化因子(CD40Lm)の効果を調べることを目的とした。得られた結果を以下に記す。 1)TZM-b1レポーター細胞を用いて測定したところ、m8△envプライム/SeVenvブーストの免疫方法で誘導される抗体は抗体感受性株(Tier1)を中和するが、Tier2を中和しない。 2)CD40Lmの効果を調べるために、同因子を発現するm8△と、EnvとCD40Lmを共発現するm8△を作製した。 3)M8△-Envとm8△-CD40Lmを混ぜて接種した場合、m8△-Env単独接種に比べて親和性のやや高い抗Env抗体が誘導された。やはり、Tier1は中和するがTier2はしなかった。CTLの誘導をenhanceする傾向が見られたが、さらに検討が必要である。 4)M8△-Env/CD40Lmでプライムした場合は、親和性の高い抗Env抗体が誘導され、Tier1への中和能が増強された。しかし、Tier2は中和しなかった。CTLの誘導をenhanceしなかった。 これらのことから、m8△プライム/SeVブースト法は有力な免疫法であるが、抗HIVワクチンとしては改良の余地を残す。
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