研究課題/領域番号 |
21390141
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
足立 昭夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90127043)
|
研究分担者 |
野間口 雅子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (80452647)
三宅 在子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20548622)
|
キーワード | HIV-1 / ゲノム解析 / 適応変異 / 種特異性 |
研究概要 |
サル細胞での複製・増殖に適化したHIV-1クローンを分子ウイルス学的に解析し、以下の成果を得た。 1.ウイルス蛋白質の機能・構造解析に基づくゲノムの遺伝子工学的改変とサル細胞内複製過程で生ずる適応変異のゲノムへの導入とを適宜組合わせ、カニクイザルおよびアカゲザル由来細胞株においてSIVmac239に比肩できる増殖能を示すMN4Rh-3(X4ウイルス)とMN5Rh-3(R5ウイルス)の構築に成功した。これらのクローンでは、Gag-CA(三箇所の小領域)とVif(全体)をコードするゲノム領域が試験管内で改変され、さらにPol-INとEnv-SUに増殖適応変異が導入されている。2.サル細胞で認められる増殖適応変異はPol-INのC末側のごく狭い領域とEnv-SUとに集中して起こることが明らかとなった。Env-SUの適応変異の構造解析の結果はウイルスエントリー効率の顕著な向上と極めて良く合致していた。Pol-INの適応変異については、その効果の機構について詳細に検討中である。3.MN4Rh-3はカニクイザルTRIM5αの抗ウイルス作用を回避しているが、アカゲザルTRIM5αを抑制することができなかった。この結果、MN4Rh-3はカニクイザルPBMCで効率良く増殖したが、アカゲザルPBMCではほとんど増殖しなかった。4.MN4Rh-3よりサル細胞での増殖能が格段に劣るHIV-1クローン(MN4-5S)であってもカニクイザル個体に持続感染する。したがって、MN4Rh-3はカニクイザルに慢性感染する可能性があり、現在、感染実験を行なって検討中である。5.Gag-CAの改変により、アカゲザル細胞においてMN4Rh-3/MN5Rh-3以上の増殖能を持つウイルスの構築に成功した。
|