本研究計画では、分子レベルでHIVの転写制御機構を明らかにし、新たな治療戦略を探った。当該研究の中で、HIV特異的転写活性化因子TatがHIV転写を特異的に活性化する分子機構を探求し、Tatと宿主因子Cyclin T1(CycT1)の結合様式の詳細を明らかにした。我々は、近年解明され公開されたTat、CycT1およびP-TEFbの触媒サブユニットであるCdk9、との蛋白分子複合体の3次元立体構造の情報を用いてTatとCycT1の分子間相互作用をそれぞれの分子上のアミノ酸残基およびその側鎖の原子レベルまで解明した。これらの成果はTat阻害剤を開発するための重要な科学的基盤を提供した。
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