研究課題/領域番号 |
21390143
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宮澤 正顕 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
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研究分担者 |
河原 佐智代 近畿大学, 医学部, 講師 (60297629)
博多 義之 近畿大学, 医学部, 助教 (30344500)
高村 史記 近畿大学, 医学部, 助教 (90528564)
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キーワード | レトロウイルス / APOBEC3 / 遺伝子多型 / スプライシング / 中和抗体 / Bリンパ球 / 活性化 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
マウスAPOBEC3遺伝子には系統間の多型があり、レトロウイルス感染抵抗性の系統は第5エクソンを欠損するΔ5トランスクリプトを高発現するが、感受性系統は全長型を低レベルで発現する。高発現型対立遺伝子mA3^bの産物がΔ5主体となる理由を明らかにするため、低発現型対立遺伝子mA3^dと高発現型mA3^bの第4エクソンから第6エクソンの範囲のゲノムDNAクローンを発現ベクターに挿入し、RT-PCR法でトランスクリプトを解析して、ゲノム断片化と相互の塩基置換により機能部位を絞り込んだ。その結果、Δ5型となる原因領域は第4エクソンの末端から第4イントロンの最上流域にあり、この部の塩基配列多型がスプライシングパターンを制御していることが示された。スプライシングに関係する塩基配列多型はごく少数であり、従来考えられていた第5イントロンの配列多型とは無関係である。 一方、細胞内のDNA変異酵素であるAPOBEC3の多型がレトロウイルス中和抗体産生を制御する機構を解析し、APOBEC3がBリンパ球で高発現すること、APOBEC3欠損状態でレトロウイルスに感染するとBリンパ球の過剰活性化が起こることを見出した。APOBEC3多型は、ウイルス抗原と無関係な抗ハプテン抗体の産生とクラススイッチには影響せず、ウイルス特異的な抗体産生のみが影響されると考えられた。また、APOBEC3多型による中和抗体産生速度の違いは脾腫を誘導しないF-MuLVヘルパーウイルスのみの感染でも認められ、APOBEC3欠損下では感染細胞で強い活性化マーカーの発現が起こるとともに、骨髄から二次リンパ組織に移行したばかりのBリンパ球が激減した。
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