研究課題
基盤研究(B)
スフィンゴミエリンは、HCV複製の場とされる脂質ラフトを構成する宿主由来の脂質である。我々はこれまでに、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の阻害剤が、スフィンゴミエリンの合成を抑制することで脂質ラフトに影響を与え、抗HCV効果を示すことを報告してきた。しかしながら、既存のSPT阻害剤は、免疫抑制効果を有することや、宿主由来の脂質を抑制するという薬剤の性質から副作用の可能性が見込まれていた。そこで、今回、肝臓特異性を持ち、免疫抑制効果のない、新規SPT阻害剤であるNA808を使用し、抗HCV効果および宿主に与える影響を検討した。我々は脂質ラフトを構成するスフィンゴミエリンを分子種レベルで同定し4種存在することを明らかにした。Eggやbrain由来のスフィンゴミエリン(SM)からそれぞれの分子種をHPLCにより分離し、HCV遺伝子複製を行うRNA合成酵素(RdRp)との関係を解析した。すると、脂質ラフトを構成する3種のSM分子種すべてがいずれもほぼ同程度の強さでRdRpと結合した。この結果は、HCV感染細胞においてHCV複製複合体を構成するSMがRdRpと結合することを示している。さらには、我々はこれらSM分子種がRdRpの活性に与える影響を検討した。すると、すべてのSM分子種において程度の差はあるものの濃度依存的にRdRpの活性を上昇させることを見出した。これは、HCVの感染が脂質ラフト上のスフィンゴミエリン濃度を上昇させ、その結果RdRpを脂質ラフトにとどめさせるだけでなく、RdRpの活性を上昇させることでHCV複製に寄与していることを示していた。以上の結果は、HCV感染によりスフィンゴ脂質代謝は変化をし、その結果HCVの複製にとって好都合な環境が作り出されていることを示していた。
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