研究課題
培養好塩基球は、IL-3で培養した直後にはFcεRIの架橋によってIL-4を産生するが、12時間程度starvationすることによって、FcεRI架橋に対する反応性を失う。本年度、IL-4産生能と同時にFcεRI架橋によるSykのリン酸化が消失することを見いだし、この反応性の消失がFcεRIへのSykのリクルートのレベルで制御されていることが明らかとなった。また、IL-3非存在下で培養することによってアポトーシスが誘導されるが、starvation後の好塩基球の生存率はそれほど低下しないこと、Bcl-xL遺伝子をレトロウイルスによって導入するとアポトーシスは阻害されるが、その際にもFcεRI架橋によるIL-4産生はstarvationによって低下すること、の2点からこの反応性の消失がアポトーシスに伴う細胞の状態の変化によるものではないことが明らかとなった。一方、IL-3培養直後にはIL-3によるIL-4産生が消失し、starvation後にはIL-3応答性が回復する。ところが、抑制性分子PIR-Bを欠損するマウス由来の好塩基球では,このような消失が起こらない。各種変異PIR-B分子をPIR-B欠損好塩基球に再導入する実験によって、このPIR-Bの作用が、細胞外部分に依存すること、すなわちPIR-B分子が何らかのリガンドを認識することが必要であること、これまでに知られているリガンドであるMHCクラスI分子はこの場合のリガンドではないこと、細胞質内の抑制性モチーフであるITIMは不要であること、などを見いだし、好塩基球のIL-3反応性の制御におけるPIR-B分子の作用はこれまでに知られていない新しいものであることが明らかとなった。
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