研究課題/領域番号 |
21390161
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮崎 貴久子 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70464229)
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研究分担者 |
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60362472)
山崎 浩司 東京大学, 人文社会系研究科, 特任講師 (30378773)
大住 省三 四国がんセンター, 乳腺科, 医長 (20416473)
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キーワード | 緩和ケア / 診療ガイドライン / QOL評価 / コミュニケーション / 患者の視点 / 情報共有 / 意思決定 / がん |
研究概要 |
緩和ケアへの移行と実施の円滑化を1.診療ガイドラインと、2.QOL評価の課題から3年間で検討する。 初年度は、1.がんの完治を目指した積極的治療から緩和ケアへ円滑に移行する方略を、関連する診療ガイドラインの作成方針、記述内容、臨床判断への影響の視点から検討した。がん診療ガイドラインの作成者と緩和ケア臨床家を対象とした面接調査を倫理委員会承認後に開始し、収集した記述データを順次継続比較法を用いて分析中である。また海外(英語圏)のがん診療ガイドラインの文献調査の結果、作成者の属性と緩和ケアに関する記載内容に関連がみられることが示された。引き続き、海外がん診療ガイドラインの記述内容分析に着手した。2.緩和ケアの目標であるQOL評価の臨床的有用性の検証に向けて、多施設共同前向き研究を実施している。QOL評価の最小重要差(MID)を明らかにする目的で、MID調査票をデルファイ法にて作成し、参加各機関の倫理委員会承認後、緩和ケア患者の協力を得てデータを収集中である。また、QOL評価の臨床での活用に向けたMIDの文献研究結果を関連学会で発表した。医学、看護学、心理学の探索エンジンを使い検索し、分析対象とした患者の主観による変化を基準としたMID研究の文献は32本であった。対象疾患は完治が目指せない慢性疾患やがんが多かった。わが国で「QOL」という語がどのように認識されているのかを検討する目的で、社会調査を実施し、データの解析中である。本研究から、がんの治療が奏効しない困難な臨床状況で、診療ガイドラインを介した患者と医療者の情報共有により、意思決定の円滑化が考えられる。また、患者のQOL評価を臨床で活用することにより、患者と医療者のコミュニケーションを促進し、緩和ケアの実施を円滑化することも考えられる。緩和ケアのQOL評価結果が診療ガイドラインの新たなエビデンスへと循環し、将来的に、診療ガイドラインに患者の視点を反映させることに繋がると予測される。
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