研究課題/領域番号 |
21390162
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
位田 隆一 京都大学, 法学研究科, 教授 (40127543)
|
研究分担者 |
川村 孝 環境安全保健機構, 健康科学センター, センター長・教授 (10252230)
森崎 隆幸 国立循環器病研究センター, 研究所・分子生物学部, 部長 (30174410)
佐藤 恵子 京都大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10398456)
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50345766)
|
キーワード | 生命倫理規範 / 倫理審査委員会(IRB) / 倫理意識 / 倫理研修 / 生命・医科学 / 生命倫理ガバナンス / 地域倫理委員会 |
研究概要 |
本年度は3年間の研究の最終年度にあたるため、生命倫理政策・規範、倫理審査・運営体制、倫理意識を柱とする生命倫理ガバナンスの枠組みの全体像とわが国における状況の評価をまとめる作業を行った。 生命倫理政策・規範については、国際機関をも含めた海外の生命倫理状況によれば、ユネスコとWHOを中心に国際的規範の策定が進められている一方、各国で生命倫理関連立法が拡大している。またWHOやEUを中心に生命倫理体制の国際ネットワークが進展しつつあり、それが共通倫理規範の形成を促し、また諸国家に共通の倫理問題についての情報交換や国際共同研究における倫理基盤の形成に役立っている。日本はこれらへの対応に全般的に遅れをとっている。 倫理審査・運営体制については、形式的にはわが国の倫理審査委員会は機能しているが、能力ある委員の確保、先端生命・医科学の知識の不足、不適切な研究計画作成、事務局員の専門知識不足等の問題があり、効果的な審査が十分に行われていず、審査の質の確保は図られていない。国もこのような状況にコントロールを及ぼしていない。諸外国でも、IRB方式に問題を感じており、地域倫理委員会制への移行がみられる。多くの国で、法律や指針により国が倫理審査の実効性を担保している。 倫理意識に関しては、諸指針で倫理教育・研修が謳われているが、実質的内容は不十分であり、また不適切な研究計画の提出や指針違反の発生などの状況がみられ、実効的な向上は確保されていない。 以上のことから、国際基準の形成へのわが国の積極的参画、倫理審査の統一的基準や手続の国による策定、効果的な生命倫理研修枠組みの構築の3点を提言する。なお、研究成果は邦語で出版するとともに、その一部を英語でAsianBioethicsReviewに特集号を組むことが予定されており、これによりアジアおよび世界に発信する。
|