病態に付随した糖タンパク質の量的変動を特異的なモノクローナル抗体で捉え、かつ糖鎖修飾という質的変化を改変レクチンプローブを用いて検出することにより、腫瘍マーカーを精度良くイメージングすることを目標とする。本年度は、癌糖鎖抗原特異的な改変レクチンのスクリーニングを2種類の方法で継続し、がん糖鎖抗原に特異的な改変レクチンクローンを4つ単離した。改変レクチン発現細胞を濃縮後、限界希釈法によりクローン化を行った。各クローンの塩基配列の決定、改変レクチンクローンと個々の糖鎖との反応性を確認することにより、それぞれ1つずつ特異的なクローンを取得した。これらの糖認識部位のアミノ酸配列を比較したところ、保存したアスパラギンの2残基N末寄りのアミノ酸がTrpまたはTyr、3つC末寄りのアミノ酸がTyrまたはPheという規則性を持っていた。逆に糖結合活性を示さなかった計20種類のクローンでは、この規則性を満たさなかった。別法として、肺腺癌細胞株A549に特異的に結合する改変レクチン発現細胞クローンのスクリーニングを行い、1つのクローンを単離することができた。このレクチンはキフネンシン処理細胞への結合が上昇することから、高分子量の高マンノース型糖鎖を認識していると予想された。このクローンも、糖結合部位のアミノ酸に上記と類似の規則性が認められた。これら4つのクローンと各種がん細胞株との反応性を調べたところ、特にクローン2B1は扁平上皮癌であるME180およびHo-1-u-1に特異的に結合した。
|