研究課題/領域番号 |
21390174
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横井 毅 金沢大学, 薬学系, 教授 (70135226)
|
研究分担者 |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 助教 (00532300)
|
キーワード | microRNA / ハロタン / 肝細胞障害モデル動物 / ヒト肝障害患者血清 / 薬物誘導性肝障害 / バイオマーカー / 末梢血microRNA / ターゲットタンパク質 |
研究概要 |
【目的】本研究ではmicroRNA(miRNA)について、薬物誘導性肝障害の病型を区別し、高感度に診断できるバイオマーカーとしての確立を目的としている。今年度は反応性代謝物が関与する細胞障害型薬物誘導性肝障害には免疫学的因子が大きく関わっていることを考慮し、ハロタン誘導性の肝障害を中心にmiRNAと薬物性肝障害の関係の解明を行った。さらに、様々な肝障害の病型のラットを作製し、肝障害の病型を分類できるバイオマーカーとしてのmiRNAの検討を行った。 【方法】雌性Balb/cマウスにハロタン誘導性の肝障害を作製し、経時的に肝および血清を採取した。肝miRNAについて、肝障害の経時的変化をmiRNAarrayによって解析した。肝障害病型ラットについては、肝細胞障害型、胆汁うつ滞型、脂肪肝、NASHおよび肝繊維症モデルラットを作製し、血中miRNAの網羅的な発現変動解析を行なった。 【結果および考察】ハロタンによるALT等を指標とした肝障害は、投与後24時間が発症のpeakであるが、全く肝障害の兆候が無い投与1時間後に既に免疫関連の因子をターゲットとするmiRNAが変動していることを見いだした。この5種類のmiRNAについて、ターゲット蛋白の機能に及ぼす影響を評価した。特にリン酸化によって機能が調節されるターゲット蛋白が多く認められた。今後、in vivoにおいてこれらのmiRNAの変動が肝障害を調節していることの検証を行う予定である。末梢血による肝臓病態診断については、miRNAarray解析による発現変動のProfileによって、診断が可能であることを見いだし、ヒトの患者血中miRNAによっても同様に診断ができる可能性が示された。後者については、論文を作製中である。さらに、慢性型の肝障害ラットモデルにおいて、疾患の重症化に伴って、変動するmiRNAの数が多り、これらはsteatosisやfibrosisに関連する因子をターゲットととするmiRNAであった。
|