研究概要 |
平成21度は、(1)公開テータベースからケノム配列(リファレンス配列)ならびに報告済み全多型情報を取得し、チトクロームP450(Cyp)遺伝子群(特にCyp1,2,3ファミリー)を中心に薬剤代謝酵素の相同領域地図を作成した。この地図を基に、(2)目的の遺伝子(領域)のみを得るためのPCRプライマー設計システムを開発した。一方、(3)目的のCyp遣伝子を含むBAC群(1人)の配列を超音波にて断片化、次世代シークエンサーによるメイトペア(2kb)とペアエンド(300b)法にて両端50塩基決定した。得られた配列情報は、解析プログラムの正確性を担保し、微調整を可能にするため独自に開発した。すなわち、(4)次世代シークエンサー大量データをプログラムにてblastによりリファレンス配列と照合させ、そこから遣伝子の塩基配列を自動決定した。これを予めキャピラリーシークエンサーにて決定しておいた同領域の配列と照合し、検証を行った。この時点で次世代シークエンサーによる配列決定は予想以上にミスリード(誤った塩基として読む)が多かったため、QV(蛍光Quality Value)補正を用いた塩基配列の信頼性を高めるツールも開発した。さらに、白血球由来ゲノムDNA(1人分)の同領域をlong PGR(10kb)で増幅、断片化の後、次世代シークエンサーで塩基配列を解読し、(5)一塩基多型(SNP)や一塩基欠損/挿入多型検索システム、(7)複数塩基欠損/挿入多型検索システム、(8)コピー数多型(CNP)予測ツール、(8)構造異常を調べるツールを独自に開発した。これにより、(5)の検出率が90%以上になることをキャピラリーシークエンサーで確認した。この時点で複数DNAの配列決定の準備が整ったが、次世代シークエンサーランニングコストが下らないため、実験待機とした。そこで、座位が不明でも多型検出できるHigh Resolution Melting(HRM)法による多型地図の作成に着手し、実験準備を完了した(SNPは検出可)。平成22年度は多型地図作成を先行し、塩基配列決定はランニングコスト低下を待って再開する。
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