研究課題
アルブミン融合技術を活用した新規レドックス制御ナノメディスンを開発し、臨床応用するために、平成21、22年度の検討結果に基づき、HSA-レドックス制御タンパク質のヘテロ融合体、特に、HSA-Trxの病態モデル動物に対する治療効果を評価する。さらに、SNO-HSAダイマーの設計とSNO-HSAダイマーの薬理効果を評価する。最終的には炎症性・酸化ストレス性難治性疾患の医師主導型臨床試験に向けた基盤整備を行う。以下に得られた知見を要約する。1.エンドトキシン、肺炎症、肺線維症などの病態モデルマウスを作成してHSA-TrxあるいはTrx、HSA単独を静脈内投与、腹腔内投与、経気道投与してHSA-Trxの治療効果を評価した。その結果、いずれのモデルにおいてもTrx単独群に比べ、HSA-Trx融合体の優iれた薬理効果が観察された。2.SNO-HSAダイマーをLY-80およびC26細胞に対して、傷害性を評価したところ、アポートシス誘導がNOに腫瘍細胞内の酸化ストレス亢進に依存していることが判明した。次いで、C26細胞を移植した担癌マウスに対して、SNO-HSAを投与して調べたところ、腫瘍の顕著な減少が認められた。興味深いことに、これらの効果がSNO-HSAダイマーのEPR効果に基づくことが示された。加えて、SNO-HSAダイマー投与後の血中動態や血清血化学的データ、血圧を調べたところ、腫瘍マーカーのみ顕著に減少したものの、ほかの血清学的パラメータは単独群と変わらず、SNO-HSAダイマーの有効性と安全性が裏付けられた。以上、本研究では、アルブミン融合技術を活用したタンパク製剤が炎症性・酸化ストレス性難治性疾患や多種の癌治療に有用であることを明らかにし、医師主導型臨床試験に向けた基礎データを構築できた。今後は、臨床医と本データを基に討議して関係機関と密に連携してできるだけ早く臨床試験の計画を立案したいと考えている。
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