研究課題/領域番号 |
21390179
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
清島 満 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171315)
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研究分担者 |
伊藤 弘康 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80373075)
金森 寛充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20456502)
大澤 陽介 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60447787)
斎藤 邦明 京都大学, 医学系研究科, 教授 (80262765)
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キーワード | スタチン製剤 / 筋障害 / 細胞内カルシウム / リアノジン受容体 / 遺伝子解析 / FACS |
研究概要 |
スタチン製剤による骨格筋障害はよく知られており、自覚症状としては骨格筋の痛みや違和感があり、検査所見としては血清CKの上昇が認められることが多い。一方、ヒト末梢血単核細胞に悪性高熱症の責任遺伝子であるRyR1が発現していることを確認し、これにスタチン製剤を添加して細胞内カルシウム濃度の増加について検討した。その結果、Pravastatin以外の4種類のスタチン製剤では細胞内Ca^<2+>増加が認められ、その中でRosuvastatinが最もその効果が大きかった。次いで、スタチン系薬剤を服用して血中CKが増加しなかった群と増加した群についてRosuvastatinを添加して比較したところ、細胞内Ca^<2+>濃度は後者において著しく高値を示した(p<0.0001)。また服用していない健常者はCKの上昇しなかった群と細胞内Ca^<2+>濃度において有意差は認められなかった。さらにフィブラートの共添加の影響をみたが、変化は認められなかった。今後、各スタチン製剤の細胞内Ca^<2+>濃度増加度の基準値を設定するために、スタチン製剤服用中で副作用のない患者のリンパ球においての検討が必要である。 スタチン添加による細胞内Ca^<2+>増加はSERおよびミトコンドリア由来と考えられる。また、IP_3受容体の特異阻害剤であるXestospongin Cを加えて検討したが、このCa^<2+>放出がSERのIP_3受容体とRyRのいずれが原因かの判別をすることはできなかった。また、最も頻度の高いRyR mutationのgenotypeについてCK上昇の5症例で検討したが見出されなかった。今後、他のgenotypeについての検索が必要であると同時にさらなる症例の蓄積が必要である。 本研究における末梢血を用いた細胞内Ca^<2+>濃度測定はスタチン系薬剤による筋障害の予知に役立つものと考えられる。
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