研究課題/領域番号 |
21390183
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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研究分担者 |
小林 大介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)
栗林 景晶 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
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キーワード | 腫瘍マーカー / IAPファミリー / Survivin / 自己抗体 / 大腸癌 / 大腸ポリープ |
研究概要 |
癌の血清学的診断に、各種腫瘍マーカーが汎用されている。しかし、感度および特異度の面で未だ満足すべき結果が得られていない。また、遺伝子診断法については感度は高いものの、検体採取上の問題から対象が限定される、検査コストが高く一般化しにくいなどの問題点がある。一方、癌や造血器悪性腫瘍細胞では、IAP(inhibitor of apoptosis protein)ファミリーの発現が著しく高まっている。本研究では、この点に着目し、血中抗工APファミリー自己抗体の検出による、簡便かつ新たな癌診断法の開発と実用化を目指している。 これまで、各種癌患者の血清を用い、抗IAP自己抗体の中でも抗Survivin自己抗体の陽性率が他に比べ高いことを見い出してきた。昨年度はそれらの知見に基づき、前癌病変の設定が容易な大腸癌に着目し、大規模比較試験を企画した。また、同時に、測定精度と処理能向上のため自動分析機器への搭載条件の設定も行った。大腸癌や大腸ポリープなど各種大腸疾患患者の試料は、順調に収集されている。現在、解析を進めているが、大腸癌における抗Livin自己抗体の陽性率は2.4%と低かった。また、比較対照としたCEA、CA19-9、抗p53自己抗体のそれは、それぞれ39.8%、21.6%、25.0%であった。一方、抗Survivinと抗XIAP自己抗体に関しては、それぞれ37.5%、36.3%と高く、特にCEAと比べ早期癌の検出率が有意に優れていた。症例数は増加中であり、臨床背景との関係や組み合わせ効果をさらに詳細に調べることで、新たな腫瘍マーカーとしての本法の有用性が実証可能となっている。
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