研究課題/領域番号 |
21390185
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
斎藤 健 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40153811)
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研究分担者 |
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (80161727)
細川 敏幸 北海道大学, 高等機能開発総合センター, 教授 (00157025)
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
村山 俊彦 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90174317)
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (30142194)
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キーワード | 金属イオン膜輸送蛋白 / メタロシャペロン / 微量金属 / 中枢神経系 / 神経伝達物質 / 脳機能 / 老化 |
研究概要 |
第一に、微量金属の神経細胞移行時の選択的透過性や細胞内動態および脳内微量金属の代謝制御機構に関わる金属イオン膜輸送蛋白およびメタロシャペロンの役割を明らかにする。これらを基礎として、微量金属が中枢神経伝達機構の構築および脳機能の発現・保持・増進に果たす神経科学的役割を明らかにする。さらに、微量金属が促進因子として関与するとされる老化、神経変性疾患に伴う脳機能の低下の機構解明や予防・治療法の開発を図ることを目的とする。 本年度の主な研究内容を示す。老化促進マウスなどの老化モデル動物を用いて、胎児期から老年期に至る脳内微量元素濃度を測定した。その結果、加齢に伴い記憶学習機能と密接な関連を有する亜鉛濃度の有意な低下、モリブデンなど活性酸素発生に関与する金属の増加が認められた。さらに、金属イオンと神経細胞死の関連について、神経系由来のPC12細胞を用いて検討した。その結果、銅単独投与では、細胞死の一つであるネクローシスは今回用いた投与条件ではほとんど認められなかった。その理由として、銅の細胞内吸収が十分に行われないためと思われる。しかし、キレート作用を有する物質を同時に投与すると、ネクローシスだけでなくアポトーシスといわれる細胞死も誘導されることが明らかになった。そのアポトーシス誘導のメカニズムを明らかにするため、アポトーシス誘導関連因子等の変動解析を行い、銅によるアポトーシス誘導は、ミトコンドリアから細胞質へのチトクロームCの放出が求められたことから、ミトコンドリアを介したアポトーシス誘導であることが明らかになった。
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