研究課題/領域番号 |
21390192
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (70315935)
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研究分担者 |
友杉 真野 (堀中 真野) 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80512037)
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キーワード | 悪性中皮腫 / HDAC阻害剤 / Reactive oxygen species (ROS) / ミトコンドリア |
研究概要 |
悪性中皮腫発症におけるHDAC阻害剤による抗腫瘍効果を解明 悪性中皮腫に対し、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の投与が有効であろうことが、現在、臨床試験において期待されている。そこで、HDAC阻害剤による悪性中皮腫に対する抗腫瘍効果の分子機構を明らかにすることで、悪性中皮腫の発症における分子機構やその予防法・治療法の解明が期待される。 22年度の研究成果により悪性中皮腫におけるHDAC阻害剤の抗腫瘍効果の発現には、HDAC阻害剤によるreactive oxygen species(ROS)の産生が関与していることが示唆された。 そこで、23年度はHDAC阻害剤によるROSの産生を規定する因子として細胞内小器官であるミトコンドリアに着目し、大阪市立大学・井上教授より悪性中皮腫細胞からミトコンドリアを欠失させた細胞を入手し、その親株細胞とHDAC阻害剤の感受性を比較した。 その結果、親株細胞ではHDAC阻害剤により顕著なアポトーシスが誘導されるが、ミトコンドリア欠失細胞ではアポトーシスの誘導が低下することが明らかとなった。 この結果は、悪性中皮腫細胞にHDAC阻害剤を処理した際に生じるアポトーシスは、ミトコンドリア由来のROSによるものと考えられた。したがって、ミトコンドリア量を検討することで、HDAC阻害剤の感受性を予測できるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感受性規定因子の検討において、既報論文を参考にした候補分子群の検討で時間を消費した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の成果において、細胞内のミトコンドリア量が悪性中皮腫細胞におけるHDAC阻害剤の感受性規定因子であることが明らかになったことから、ミトコンドリア量の定量を検討する。
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