発癌のエピジェネティックな要因として遺伝子のメチル化による発現の抑制が知られており、悪性中皮腫においてはがん抑制機能を持つとされるマイクロRNAのmiR-34b/cのメチル化が生じていることが報告されている。DNAメチル化の解除には、DNAメチル化阻害剤とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の併用の有効性が示されていることから、悪性中皮腫細胞に対して、DNAメチル化阻害剤5-Aza-2’-deoxycytidineとHDAC阻害剤YM753の併用処理を実施した。 その結果、DNAメチル化阻害剤とHDAC阻害剤の併用により、悪性中皮腫細胞の増殖抑制とアポトーシスの増加、及びmiR-34b/cの発現増加が認められた。 これらの結果は、悪性中皮腫においては、miR-34b/cを含むアポトーシス誘導遺伝子がメチル化により抑制されており、そのメチル化を解除させることで細胞死を誘導する可能性を示唆する。
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