研究概要 |
大迫研究では、遣伝子多型や親の長寿と高血圧新規発症・高血圧有病との関連を検討した。計53個のSNPsのうち、RGS2、ADD1、CACNA2D2、CATの4つのSNPが高血圧発症と有意に関連し、年齢・BMIなどの交絡要因で補正してもなお、リスク多型を1つ、2つ、3つ、4つ持つ群でそれぞれ1.6倍、2.6倍、4.7倍、16.9倍と高血圧発症リスクが増加した。両親の長寿は、子の成人時の高血圧と関連し、早世であった母親・父親を持っ子の血圧は、長寿であった母親・父親を持つ子に比較して有意に血圧レベルが高値を示した。1日1合以上の飲酒者は,非飲酒者にくらべて起床2時間後の血圧が有意に高く,昼間血圧も持続的な高値を示し、授動喫煙の女性では非受動喫煙の女性に比較して、家庭血圧が有意に高値であった。 BOSHI研究では1年間を通じて317人の登録を行い、研究開始時より計831名の参加者となった。平成21年3月31日までに出産した正常血圧妊婦258名に対象を広げ、妊娠初期の基礎特性とその後の血圧推移との関連を検討した。妊娠前に肥満であった妊婦は、妊娠時の血圧が正常レベルであっても、正常BMIの妊婦と比較し有意に高値であった。また、妊娠前にBMIが18.5未満であった群では2500g未満の低出生体重児であった割合が高かった。 たとえ正常血圧レベルであっても、妊娠期間中に血圧が高値であった妊婦は、血圧が低値であった妊婦に比較して、30年後の高血圧有病リスクは高値であり、その子の妊娠時血圧も有意に高値であった。今回の解析では、インスリン抵抗性や産後の血圧レベルの正常化などは考慮に入れておらず、今後の詳細な検討が必要と考えられた。
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