研究課題/領域番号 |
21390202
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田宮 菜奈子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20236748)
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研究分担者 |
本澤 巳代子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70200342)
中谷 陽二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30164221)
本田 克也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00240789)
宮石 智 岡山大学, 大学院・医学薬学総合研究科, 教授 (90239343)
山崎 健太郎 山形大学, 医学部, 教授 (80220309)
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キーワード | 介護保険 / 高齢者 / 終末期 / 法医学 / 法学 / 緩和ケア |
研究概要 |
1. 法医学視点からの分析 過去の剖検記録データの整備:岡山大学および山形大学の過去の剖検記録について、データベース化をさらに進めた。来年度まで集積し、分析する予定である。 死体検案事例の検証:山形大学の検案事例による死亡から発見までの時間をアウトカムとしたcox regression分析については、英文論文化し国際雑誌の投稿最終段階に至っている。また、同じ山形のデータベースにより、昨年までの分析で自過失死として多かった高齢者の俳徊事例に着目し、同様の事例を東京都観察医務院によるデータと比較検討し、地域差が大きいことを示し論文出版した。また、岡山大学の法医学剖検記録をもとに、親殺しの全事例を調査し、ドイツ・ハンブルク大学から同期間の同州の事例の提供をうけ、比較したところ、精神障害のある子供が親を殺害する割合、高齢の親が殺害される割合が、岡山の事例ではハンブルクに比して多いことが示唆され、学会発表し、論文化しているところである。また、本年度は、アウトカムとして自殺も重要課題であることから、自殺専門家や当事者の意見を聞く機会をもうけ、次年度の考察には自殺関連の分析も含めるよう準備した。当事者(遺族)の意見から、検案事例の蓄積の重要性を認識することができた。 2. 法学の視点からの分析 判例体系CD-ROM」に基づく判例事例の疫学的分析:第一法規総合判例情報データベースをもとに、今年度は、とくに避けるべき死として、(2)虐待、殺人・介護心中、に着目し、とくに、上記1の検案事例の分析でハイリスクであることが示された精神障害者との関係について過去5年間(平成17年1月1日~平成22年10月31日)の期間に裁判が行われた親殺し事例を抽出し、さらに、「判例タイムズ」と「判例時報」にて見落としの有無を確認し分析した。その結果、「長年にわたる確執のある親との同居」、「被害者(親)が病気」が、精神障害者の親殺しのハイリスク要因であることが示された。 3. 緩和ケアのあり方についての実証研究 今年度は、新たに、穏やかな最期のために必要なプロセスである緩和ケアのあり方についても取り組んだ。すでに分析してあった結果をもとに、本研究費において、再分析し、さらに専門家の意見を仰ぎ、論文化し出版した。
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