地域の健康水準には多くの社会的健康決定要因が関係すること、ヘルスプロモーションにおいて重視される市民参加や部門間協力という手法にもとづくプログラムが効果をもたらすことが、数量評価により明らかにされている。本研究の目的は、(1)健康推進や生活の質の拡大をめざす総合的な地域の活動や集団での取り組みが、地域の能力(地域エフィカシー)の拡大にもたらす影響を数量評価し、(2)地域エフィカシーが個人や地域の健康行動ならびに健康水準にもたらす影響を評価してそのメカニズムを解明し、さらに、(3)アジアの諸都市で展開されているヘルシーシティーのプロセス評価指標を開発することにある。 アジアのヘルシーシティー研究のネットワークを活かし、ヘルシーシティー指標による地域資源静態評価指標、動態評価指標による分析を行った。地域住民の健康知識、衛生知識、健康観、健康都市観、地域活動の調査による、地域住民のエフィカシー評価を行った。健康都市事業の介入前後における、地域健康度の評価を行い、健康決定諸要因の寄与、地域エフィカシー、活動寿命の改善を明らかにした。 ヘルシーシティー活動の評価における以下の6領域の評価枠組みを明らかにした。(1)組織・計画・政策、(2)健康都市プロフィール、(3)事業活動とその成果、(4)ヘルスインパクトアセスメント、(5)地域開発・住民参加・地域エフィカシー、(6)地域人材育成。
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