研究概要 |
血清疫学分析として,血栓動脈硬化性心血管疾患(虚血性心疾患と脳梗塞)のNested case-control study用に症例群103件および性・年齢をマッチさせた対照群515件,計618件について総ホモシステインを測定した。また,コホート分析用8177件について総ビリルビン,尿酸,高感度CRP,LDLコレステロールを,保存血清から測定した。Nested-case control用の分析結果から,血栓動脈硬化性心疾患患者では保存血清中の総ホモシステイン値が高くて総ビリルビン値が低いこと,高ホモシステインと低ビリルビンが重複した場合に,特に血栓動脈硬化性心疾患の発症リスクが高いことが示された。この結果について,他の危険因子等を調整した詳細な分析と論文の作成準備を現在行っている。 コホートの追跡では,平成19年健診の基本健康診査の結果を平成10年のベースラインデータ,および平成15年までの追跡結果と照合し,平成19年度の未受診者,および平成19年度受診時の問診結果から発症状況が疑われた者,計3523人の生存者に対して郵送アンケートを実施し,3192人から回答を得た。アンケート結果から脳卒中,急性心筋梗塞,冠動脈造影検査で確認された狭心症,および糖尿病のうちいずれかの発症が疑われた者についてのカルテ調査について,現在医療機関との調整を行っている。また死亡者については平成平成15年9月から平成20年末までに529人の死亡者を把握し,厚生労働省の許可の下,死亡小票調査を実施して死因を特定した。
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