本研究では、患者ニードの把握に基づいた個別的な包括的ケアを提供可能とするような支援システム、中でもわが国の医療システムを考え、看護師と医師との協働による、多職種コラボレイテイブ・ケア・アプローチを開発することを目的とする。 平成23年度は、前年度までに標準化を終えたがん患者のニードの評価方法であるThe short-form Supportive Care Needs Survey(SCNS-SF34)を外来通院中の乳がん患者408名に実施し、多変量解析にて満たされていないニードの関連要因を検討し、雇用状態(フルタイム/パートタイム以外)、がん診断から6カ月未満、進行した病期、身体的機能の低さが有意な要因であることを示した。またニードは、心理的苦痛(Hospital Anxiety and Depression Scaleで測定)と生活の質(European Organization for Research and Treatment of Cancer QLQ-C 30で測定)に有意な関連があることを示した。さらにこれら結果をもとに、ニード評価に加え、簡易な問題解決技法を組み合わせた看護介入と看護師と精神科医が協働するコラボレイテイブケアモデルを作成し、有用性を検証するための臨床試験を開始した。 なお、調査に際しては、適格患者を対象として、文書にて本研究の目的、方法等について説明を行うとともに、本研究への参加に同意が得られた場合は、同意書に参加者本人の署名をしてもらった。
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