研究課題/領域番号 |
21390212
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都 |
研究代表者 |
新開 省二 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都, 研究部長 (60171063)
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研究分担者 |
藤原 佳典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 研究副部長 (50332367)
吉田 裕人 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 研究員 (40415493)
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キーワード | 高齢者 / 健康アウトカム / β2ミクログロブリン / 予測因子 / 死因別死亡 / 慢性腎臓病 |
研究概要 |
本研究の目的は、一般地域高齢者の健康アウトカムを予測する血清β_2ミクログロブリン(β_2-M)の意義とその機序を明らかにすることである。 1.血清β_2-M濃度と主要死因別死亡との関連分析 都老研特別プロジェクト「中年からの老化予防総合的長期追跡研究(TMIG-LISA)」の初回調査を受け解析に必要なすべてのデータがそろった65歳以上高齢者1,140人を8年間追跡し、がん死亡59例、循環器疾患死亡83例、その他の死亡73例を特定した。初回調査の血清β_2-M濃度が第1三分位(1.5mg/L以下)に比べた第2三分位(1.6-1.8mg/L)および第3三分位(1.9mg/L以上)の多変量調整済みハザード比は、がん死亡では1.50(95%Cl:0.75-3.00)、1.34(0.57-3.17)、循環器疾患死亡では3.12(1.33-7.29)、4.24(1.75-10.3)、その他の死亡では2.53(1.11-5.77)、4.16(1.76-9.79)であった。 2.血清β_2-M濃度と慢性腎臓病(CKD)との関連分析 TMIG-LISAでADL障害かつCKD(eGFRが60mL/min/1.73m^2未満)をもたない65歳以上高齢者450人を8年間追跡し、73例(16.2%)の新規CKDを特定した。初回調査の血清β_2-M濃度が第1三分位、第2三分位および第3三分位それぞれのCKD累積罹患率(および多変量調整済みオッズ比;OR)は、10.6%(OR=reference)、10.4%(OR=1.09;0.53-2.24)、34.6%(OR=4.44;2.13-9.25)であり、ROC曲線のAURは0.703であった。血清β_2-MとCKDとの関連の強さおよび予測の精確性は、eGFRよりやや劣るもののcystatin Cとほぼ同等であった。 我々はこれまで血清β_2-M濃度が高い高齢者ほどのちの総死亡やADL障害を起こすリスクが高いことを明らかにしてきたが、本研究により、それらは循環器系疾患や慢性腎臓病を介している可能性が高いことが示された。
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