1)疫学調査データの整理:研究初年度に実施した職域調査から得られた約550名分のデータを整理し、生活習慣調査・食生活調査・健康診断の全データを連結し、解析用データベースを作成した。2)血清脂肪酸分析:メタボリック症候群の男性100名を対象に行った生活習慣改善に関する介入研究の保存試料について、各分画の脂肪酸組成の測定を終えた。また、研究初年度に実施した調査で得た血清について脂肪酸組成の分析を開始した。3)疾病早期バイオマーカーに関する分析:研究初年度の疫学調査から得た血清サンプルについて、肥満・代謝関連バイオマーカー(アディポネクチン、レプチン、インスリンなど)の測定を終えた。4)統計分析:脂肪酸組成と炎症マーカーである高感度CRPとの関連を検討した結果、男性ではパルミチン酸が正の関連を、αリノレン酸が負の関連を示すことを見出した。また、男女ともジホモγリノレン酸が正の関連を示した。5)学会発表:脂肪酸組成と酸化的遺伝子損傷のマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン値との関連を調べ、n-3系多価不飽和脂肪酸は正の関連、n-6系多価不飽和脂肪酸とは負の関連であることを報告した(日本疫学会総会 2011年1月)。6)論文作成:上記2課題についての論文化を進めた国際誌に投稿したほか、インスリン抵抗性指標としての血清C-ペプチド濃度や、メタボリック症候群との関連を解析し、論文化を進めた。リノール酸はインスリン抵抗性に対し予防的な関連であることが示唆された。
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