研究概要 |
本研究の目的は、年齢依存性発現生体分子を新たに検索・同定し、これらの生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連を解明すること、および法医学的年齢推定マーカーとしての有用性について検討を行うことである。今年度は、従前の研究により年齢依存性発現が認められた新規タンパク質M-LP(Mpv17-like protein)によって発現調節を受けることが示されたグルタチオンペルオキシダーゼ(Gpx)と、M-LPの転写調節にかかわる新規転写因子Rhit(regulator of heat-induced transcription)についての研究を実施した。主要な成果を以下に示す。 1)ヒトGpx遺伝子内のSNP解析 Gpx1、Gpx2、Gpx3およびGpx4遺伝子内の計11個の非同義置換型SNPを同時に解析するためのタイピング法の開発を行った。この方法を用いて日本人を含む3民族におけるSNPの遺伝子頻度の解析を行なった結果、Gpx1 P200Lではすべての民族において多型性が認められ、民族による遺伝子頻度の相違が明らかになった。一方、Gpx2R146C,Gpx2P126L,Gpx1 A194TおよびGpx4 S2Nにおいては若干のヘテロ接合性が認められた。 2)転写因子Rhitのヒトホモログ遺伝子の発現解析 マウスで見い出された新規転写因子Rhitの配列を用いてデータベースの検索を行ったところ、Rhitのヒトホモログに相当する遺伝子が見出された。RhitヒトホモログのRNAレベルでの発現は、ほとんどの臓器で認められ、特に肝、胎盤において強く認められた。
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