研究概要 |
本研究は、(1)トランスクリプトームおよびプロテオーム解析による年齢依存性生体分子の検索・同定 (2) 年齢依存性生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連の解明 (3) 年齢依存性生体分子の定量法の確立 の3項目を目的として実施している。平成24年度は、上記項目(1) および(2)について以下の解析を行った。 (1) 年齢依存性生体分子の検索・同定 活性酸素の代謝に関わるマウス腎の新規タンパク質M-LPは年齢依存性生体分子である。報告者はこれまでにM-LP遺伝子の年齢依存性発現は新規転写抑制因子Rhitに依存していることを明らかにした。このことから、Rhitによって転写を制御される遺伝子群(標的遺伝子群)は年齢依存性生体分子である可能性が高いと考えられる。そこで、Rhit遺伝子の発現を抑制し、この操作によって発現量が変動する遺伝子群をPCRアレイ法により検索した。従前の研究により、Rhit/M-LPは酸化ストレスに関係していることが示唆されたため、今回は酸化ストレス関連遺伝子のアレイを用いて実験を行った。その結果、発現が有意に促進される8遺伝子(Gpx1, Gpx8, Slc38a3など)および発現が有意に抑制される29遺伝子(MPO, Rag2, Aassなど)を同定した。 (2) 年齢依存性生体分子の生理的機能や加齢・老化・疾患との関連の解明 マウスM-LPのヒトホモログであるM-LPHの生理的機能を明らかにするため、抗体を固定した磁気ビーズを用いて免疫沈降法による結合タンパク質の単離を行った。精製試料をLC-MSMSにより分析した結果、M-LPH と生理的条件下で相互作用すると予測される4つのタンパク質を同定した。
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