研究課題/領域番号 |
21390220
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00261975)
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研究分担者 |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80282630)
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20323579)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20431869)
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キーワード | 長寿 / 老年病 / 男性ホルモン / アンドロゲン / テストステロン / DHEA |
研究概要 |
老年病の病態形成におけるアンドロゲンの役割と老化プロセスに対するアンドロゲンの作用を解明する目的で、昨年に引き続き臨床研究、基礎研究を行った。 中年男性生活習慣病患者194名を対象に、メタボリックシンドロームと血清性ホルモン濃度との関連を解析し、テストステロン低値がメタボリックシンドロームの診断ならびに各構成要素、特に内蔵肥満と関連することを示した(Hypertens Res 2010)。さらに、中高年男性生活習慣病患者171名を追跡調査し、血清テストステロンの低下が独立した心血管疾患の発症リスクであることを報告した(Atherosclerosis 2010)。 一方、軽度認知機能障害患者に対するアンドロゲン補充療法の効果を検討し、小規模ではあるが、男性ではtestosterone undecanoate 40mg/日の投与により、女性ではdehydroepiandrosterone (DHEA) 25mg/日の投与により、非投与群に比べて有意な認知機能の改善効果を認めた(J Am Geriatr Soc 2010、Geriatr Gerontol Int 2010)。 血管内皮細胞では、アンドロゲン受容体が細胞膜レベルでPI3キナーゼ/Akt経路を活性化してeNOS活性化/NO産生に寄与することを報告したが(Endocrinology 2010)、今年度はさらにアンドロゲン受容体がCaveolin-1と共存し、ERK活性化や細胞内Ca2+の増加を促し、さらにeNOS活性化につながることを見出した。 来年度は、老化マウス、認知症モデルマウスの解析を中心に行い、特に長寿遺伝子Sirt1とアンドロゲン、アンドロゲン受容体との関係について基礎検討を行う。また、サルコペニアにおけるアンドロゲンの役割について、基礎的、臨床的検討を行う。これらの研究結果から、細胞老化から老年疾患、特に虚弱化の過程にアンドロゲンが深く関わることがわかり、この成果は治療法にも応用できると期待される。
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