研究課題/領域番号 |
21390222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
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研究分担者 |
安田 修 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00372615)
福尾 惠介 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40156758)
大石 充 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50335345)
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キーワード | ミトコンドリア / Apop |
研究概要 |
Apop遺伝子をヘテロに欠損したマウスの交配により、Apopノックアウト(ApopKO)マウスを得た。ApopKOマウス同士の交配を行った結果、産仔の外観、体重は野生型と同等であったものの出生数は野生型に比して少なく、発生におけるApop遺伝子の関与と重要性を示す結果であった。 培養血管内皮細胞を高グルコース条件下で培養した結果、ミトコンドリアの機能低下が見られ、Apop発現ならびに酸化ストレス産生の上昇は上昇していた。この細胞ではβガラクトシダーゼ発現が見られ、細胞の老化が促進されていることを示すものであった。また発現ベクターを用いてApop遺伝子を発現した細胞では酸化ストレスの産生が亢進し、逆にsiRNAを用いてApop発現を抑制した細胞では酸化ストレス産生が抑制されていた。これらの結果はApop遺伝子が内皮細胞の酸化ストレス産生と傷害とをもたらしていることを示すとともに、Apop遺伝子は糖尿病による血管老化を促進していることを示している。以上よりApopが動脈硬化治療の標的になりうることが明らかとなった。またApop遺伝子発現を抑制した細胞ではミトコンドリア代謝とATP産生の上昇が認められ、Apopのミトコンドリア機能への関与を示していた。 老化疾患の代表である心筋梗塞後に治療のための再還流を行ったマウスでApop遺伝子の発現定量を行った結果、虚血再還流後4-6時間をピークにApop遺伝子発現の変化が認められた。この結果はApop遺伝子発現が心筋梗塞治療後の再還流による細胞死と酸化ストレス産生に関わっていることを示している。
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