研究課題
C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)に対する応答、不応答に関わる因子の探索はIFN療法の治療成績の改善、その後の肝癌の発生阻止の観点から極めて重要と言える。今後、従来のIFN+Rib(リバビリン)併用療法に加え、NS3プロテアーゼインイビターが併用されても、IFNに対する治療反応性については依然として治療効果を決定する重要な因子であろうと考えられる。IFN不応答の要因には、ウイルス側因子と宿主側因子が関与していると考えられるが、本研究はIFN応答・不応答に関わる宿主因子を同定することを目的とした。我々はこれまでにC型慢性肝炎症例でIFN+Rib併用療法を受けた30症例について治療前の肝生検組織と治療開始一週後の肝生検を用いて、治療に伴う肝組織内の遺伝子発現変化をaffymetrix gene chipにて行った。同時に9症例からLCM法を用いて肝浸潤リンパ球、肝細胞を別々に分けて採取しIFN+Rib併用療法に伴う遺伝子発現変化を解析した。以上の解析からIFN治療不応例では肝内のISGが治療前から発現誘導されており、IFN治療によって新たに誘導されない現象を見出した。さらに、IL28Bの遺伝子多型が、治療前のISG発現と密接に関わっていることを明らかにした(Gastroenterology 2010)。また、肝浸潤リンパ球及び肝細胞の解析から、IFN治療不応例では肝浸潤リンパ球からIFN抑制遺伝子を誘導すると考えられるサイトカイン・増殖因子の発現亢進が認められ、IFN治療抵抗性と関連している可能性が示唆された(J Hepatol 2010)。これまでに、SDF-1、HB-EGF、OsteopontinなどがIFN治療不応例の肝浸潤リンパ球で発現亢進していることを見出しており、これらの増殖因子のHCV複製に対する効果を、HCVレプリコン、感染クローンを用いて検討した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (31件)
J Hepatol
巻: 54 ページ: 439-448
Int J Cancer
巻: (in press)
Hepatol Res
巻: 40 ページ: 1063-1071
Cell Metab
巻: 12 ページ: 483-495
巻: 53 ページ: 817-826
Biochem Biophys Res Commun
巻: 400 ページ: 7-15
Gastroenterology
巻: 139 ページ: 499-509
J Infect Dis
巻: 202 ページ: 75-85
Cancer Res
巻: 70 ページ: 4687-4697
Genomics
巻: 95 ページ: 217-223