研究課題
90%以上のヒト肝細胞置換率が得られたヒト肝細胞キメラマウスを16頭作成した後、9頭にHBVを接種し、HBV持続感染マウスを作製した。その後、HBV非感染マウス3頭、感染マウス5頭に対し、インターフェロン(IFN)を投与。IFN投与6時間後に、すべてのマウス肝からヒト肝細胞を摘出し、アジレント社のcDNA Microarray (44 K Whole Human genome Oligo Microarray)にて遺伝子発現プロファイルを作成した。得られた遺伝子発現プロファイルは、GeneSpring GX 10.0.2にて解析を行った。cDNA Microarrayにある約41,000遺伝子のうち、159遺伝子がHBV感染にて3倍以上発現が亢進しており、214遺伝子は発現が低下していた。これらの遺伝子についてGO(gene ontology)解析を行ったところ、cell cycleやDNA replication等に関与する遺伝子群が有意な発現変化が確認され、gene set enrichment analysis (GSEA)では、signal transduction等に関与する遺伝子が有意に発現変化していた。HBV非感染状態でのIFN投与による遺伝子発現変化をみると、IFN投与により525遺伝子が発現亢進し、160遺伝子が発現低下した。これら685遺伝子について、HBV感染の有無によってIFN応答がどのように変化するか検討したところ、38遺伝子がHBV感染に伴いIFN応答が著明に抑制された。本研究は、ヒト肝細胞キメラマウスを用いて、HBV感染に伴うヒト肝細胞内での遺伝子発現変化およびIFN応答の変化を検討した。HBV慢性感染では、肝細胞が免疫寛容状態にあるが、その機構は明らかとなっておらず、HBV感染に伴い発現変化した373遺伝子の中には、免疫寛容を惹起するための標的遺伝子も含まれている可能性が考えられる。今後は、免疫反応に関連する遺伝子を中心に解析を行い、免疫寛容の機序を詳細に検討する予定である。一方、HBVはIFN治療に対し抵抗性を示すことが知られているが、そのIFN感受性HBV genotypeにより大きく異なる。本検討においてHBV感染に伴いIFN反応性が変化する遺伝子が多数認められ、HBVのIFN感受性に関与する可能性が考えられた。今後は、HBVの各genotypeでのIFN応答の変化を検討し、HBVのIFN抵抗性の機序の解明を目指す予定である。
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