研究課題/領域番号 |
21390234
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
渡辺 純夫 順天堂大学, 医学部, 主任教授 (20138225)
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研究分担者 |
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20317382)
今 一義 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30398672)
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キーワード | オートファジー / 脂肪性肝炎 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / リソソーム |
研究概要 |
本年度も引き続きオートファジーと脂肝、大腸炎との関係を明らかにる目的で研究を行った。 (1) 消化管炎症モデル 本年度は、オートファジー欠損によってdextran sulfate sodium (DSS)腸炎が増悪する機序を明らかにすべく検討を行った。オートファジー欠損によりDSS投与後の大腸組織中のTUNEL陽性細胞が増加すること、Caspase-3, -7活性化が強く誘導されていることが分かった。さらにPERK発現、elf2α活性化の増加も認められる事からオートファジー欠損によりDSS添加後の小胞体ストレスが増加し、腸管粘膜細胞のアポトーシスが誘導されたものと想定された。一方、azoxymethane (AOM)/DSS投与による大腸発癌モデルでばオートファジー欠損により大腸腫瘍の数、大きさ、部位などに明らかな差を認めなかった。予想に反し、オートファジー欠損は腸炎発症には関与するが大腸発癌とは直接的には関与していないような結果となった。オートファジーは潰瘍性大腸炎よりもクローン病の発症に大きく関与していると考えられており、潰瘍性大腸炎と比較したときのクローン病の発癌率が低いことを反映しているのかもしれない。 (2)オートファジーと脂肪肝 脂肪肝において観察されるオートファジー機能障害の発生機序を明らかにすべく検討を行った。肥満モデルマウスでは肝組織中のカテプシンL発現がほぼ消失し、カテプシン活性の有意な低下を認めた。一方でLC-3とLAMP1発現は、コントロールマウスとOb/Obマウスからの肝細胞においてほぼ全部のオートリソソーム膜上に共発現しておりオートファゴソームとリソソームの融合は脂肪肝においても障害されていないものと想定された。以上のことから、脂肪肝ではリソソームのカテプシン成熟障害が生じるものと考えられ、これによりオートファジーを介した蛋白分解が抑制されたものと思われた。
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