研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症は持続感染化して慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌に至る疾患を引き起こす。特に遺伝子型1bかつ高ウイルス量症例では50-60%の治癒率であり、いまだ十分ではない。本研究では、臨床的に治療が困難な遺伝子型1bのC型肝炎ウイルスのウイルス感染性クローンを樹立することにより、治療抵抗性に関する遺伝子領域を解析し、遺伝子型1bHCVの治療抵抗性の分子機構を解明することを目標としている。構築した遺伝子型1bの感染性ウイルス粒子を産生する全長ウイルス構築を用いて感染性ウイルス産生を検討した。野生型構築に比べて、適合変異を導入した構築ではウイルス産生能の向上が観察できた。全長ウイルスゲノム導入細胞の継続培養ではウイルス感染細胞が徐々に減少し、2-3ヶ月の培養を経て上清中のウイルスがほとんど検出不能となった。さらにウイルスゲノムに導入する変異の組み合わせを検討することにより、最も感染性ウイルス産生能の高い遺伝子型1bのウイルス構築を樹立した。この実験系により、ウイルスゲノム導入細胞の培養上清中にウイルス粒子が分泌される。分泌されたウイルス粒子はnaiveな培養細胞に感染性があることを観察した。また、遺伝子型1bのウイルスゲノムの一部を遺伝子型2aのJFH-1株の遺伝子に組換えたキメラウイルスゲノムを作製し、NS5bを遺伝子型1bに組換えたウイルス構築を作製した。この組換えウイルスを使用して、ポリメラーゼ阻害剤の感受性プロファイルを検討した。これらの組換えウイルスは遺伝子型1bの抗ウイルス薬開発、薬剤耐性ウイルス解析に有用である。
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