研究課題/領域番号 |
21390236
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
|
研究分担者 |
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
松井 裕 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
|
キーワード | 心筋リモデリング / 心不全 / ミトコンドリア / DNA / 転写因子 |
研究概要 |
ミトコンドリアは、生体における細胞機能を維持し生死を調節する重要な細胞内器官であるが、その機能はミトコンドリアDNAおよびその複製・維持を担うPGC-1/TFAMなどミトコンドリア転写因子によって高度に制御されている。本年度は、心筋リモデリングにおけるミトコンドリア酸化ストレスおよび酸化ストレス関連遺伝子の発現をあきらかにした。 心不全に陥った心筋では、ミトコンドリアで活性酸素が過剰に産生されるが、この活性酸素はミトコンドリアDNAの損傷、さらには電子伝達の機能障害をきたす。ヒトTFAM遺伝子遺伝子過剰発現マウスに、冠動脈結紮による梗塞後心不全モデルを作成すると、このマウスでは、心筋ミトコンドリアDNA傷害が軽減され、梗塞後リモデリングおよび心不全の発症・進展が抑制される。マウスに心筋梗塞を作成し、末梢血液中の酸化ストレスマーカーであるTBARSとともに、in vivo電子スピン共鳴法を用いて心筋における活性酸素の産生を経時的に測定すると、末梢血酸化ストレスマーカーの亢進は梗塞作成後急性期にみとめられ、一過性であった。一方で、心筋における酸化ストレスの亢進と左室リモデリング(左室内腔の拡大と収縮能の低下)の進行はよく合致した。さらに、心筋DNA microarrayで、核DNAでコードされたMthfd2やAdh1などの抗酸化酵素が増加したが、ミトコンドリア呼吸酵素は不変であった。 以上より、心筋リモデリング・心不全の形成・進展に酸化ストレスが密接に関与することがin vivoで証明された。
|