研究課題
本研究は、心筋再生に最適な移植細胞の誘導・純化・移植法の開発(seed開発)とそのseedを特異的に心筋へと誘導する因子・環境(soil)の解明を通じて、高効率な新しい心筋再生治療戦略、「Seed & Soil治療」の開拓・樹立を行うことを目的とする。1)サイクロスポリンAの心筋前駆細胞分化促進作用の分子機構の解析。2)心筋前駆細胞(FCV細胞)のモデル動物への移植実験。3)低分子化合物ライブラリー(海洋生物由来)から「心筋前駆細胞から心筋細胞」の分化過程作用する新規心筋再生促進物質の探索を行う。以上の研究により、「Seed & Soil治療法」という概念を確立する。本年度は以下の2項目に関して進捗を認めた。2)ES/iPS細胞由来心臓細胞の効率的移植方法の開発細胞シート(Miyahara, Nat Med, 2006)技術を用いたマウスES細胞由来心臓組織シートのラット心筋梗塞モデルへの移植により、心筋梗塞後の心機能が改善し、3ヶ月以上効果が持続すること、同作用は、直接的心筋細胞の貢献よりも血管新生等を介したパラクライン効果であること、同効果には心筋が必須であり心筋を一過性であっても虚血部に供給することが重要であることを示し論文に報告した(Masumoto, Stem Cells, in press)。また、日本炎症再生学会においてポスター賞を受賞した。3)海洋生物由来低分子化合物ライブラリからの心筋分化誘導物質の探索早稲田大学中尾洋一准教授(連携研究者)との共同研究により海洋生物由来低分子化合物ライブラリー(中尾准教授より提供)をスクリーニングし、新規心筋分化誘導物質の同定を試みた。サイクロスポリンAの1000倍以上低濃度で心筋分化誘導作用を示す物質の同定に成功した(特許申請済)。同化合物は種々の心筋前駆細胞に直接的に作用し、強力に心筋分化を誘導した。
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