研究概要 |
1. トリガー血圧計の開発 我々が開発したトリガー血圧計は、睡眠時無呼吸にともなう酸素飽和度の低下が引き起こす睡眠時の過度の血圧上昇を検知し作動するものである。これは、夜間就寝中のある一定の酸素分圧の低下の域値を設定し、血圧測定を起動させる。しかしながら、この測定法では、重症睡眠時無呼吸症候群では、血圧測定が頻回作動してしまい、その対策として酸素分圧の低下域値を下げてしまうと、軽症の酸素飽和度低下の場合は血圧測定が作動しないというジレンマに陥ることになった。さらに、酸素分圧の変化度による血圧上昇の検知は不可能であった。 そのため、最低酸素飽和度が時間経過と共に随時更新されるアルゴリズムを作成し、酸素飽和度がその前の最低酸素飽和度を下回る変化速度を設定し血圧測定が起動するようにした。変化速度を毎時6%,10%,20%と設定しコンピュータ上でシミュレーションを行うと、毎時10%の設定が、血圧測定回数が許容範囲であり、睡眠時無呼吸の検出に最適であることがわかった。また、本アルゴリズムを搭載した家庭環境でも測定可能な家庭血圧計の作成を検討した。 2. 夜間高血圧の治療法に関する研究 睡眠時無呼吸症候群を有し夜間高血圧を呈する患者に対する治療法の一つとして、β遮断薬を用いて、交感神経および心機能抑制により、睡眠時の過度の血圧上昇を抑制させる効果を、カルシウム拮抗薬と比較するため、患者登録をすすめた。
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