研究課題/領域番号 |
21390254
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
檜澤 伸之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00301896)
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研究分担者 |
坂本 透 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50282356)
野口 恵美子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (40344882)
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キーワード | 喘息 / COPD / 組織因子 / 薬理遺伝学 / マンノース受容体 / Siglec-8 / 自然免疫 / パターン認識受容体 |
研究概要 |
これまでの喘息や喘息と関連するIgE反応性や気道過敏性に影響を与える遺伝的な影響についての検討から、喘息や気道過敏性に関連する遺伝因子とIgE反応性に関連する遺伝因子とは必ずしも一致せず、喘息はI型アレルギーやアレルギー性炎症の視点のみでは説明できない病態である。例えば、分子遺伝学的視点からは、喘息、さらにCOPDはいずれも種々の外因(アレルゲン、喫煙、大気汚染、ウイルスなど)に肺組織が過剰に反応する病態、すなわち傷害やストレスに対する気道組織の感受性が亢進し、結果として慢性炎症やリモデリングが起こり易い遺伝的体質に立脚した症候群と考えることが可能である。昨年度、我々のグループは独立した2つの患者対照集団(成人喘息患者770名、成人健常者1134名)を用いて、組織因子(TF)遺伝子のプロモーター領域に存在する一塩基多型(-603A/G)と喘息との関連を報告した。BEAS-2B気道上皮細胞及びHUVEC血管内皮細胞を用いてTF遺伝子のレポーターアッセイにおいて、対立遺伝子-603Aと比較し-603Gで有意に高い転写活性を認めた。TF-603GG遺伝子型が成人発症喘息のリスクと考えられ、アレルゲンのみならず感染、喫煙、大気汚染、鼻炎などの非特異的な気道傷害やストレスがTFを誘導し喘息発症に寄与する可能性が推測される。さらにJohns Hopkins大学との共同研究でマンノース受容体遺伝子(MRC1)やSiglec-8遺伝子と喘息発症との関連を発見し、喘息発症におけるパターン認識受容体の重要性を報告した。これらの検討はIgEやTh2といったアレルギーと同時に、自然免疫を中心とする初期防御応答が喘息の発症・病態に重要な役割を果たしていることを示している。
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