研究課題/領域番号 |
21390255
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00322024)
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研究分担者 |
加々美 新一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30375654)
須藤 明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50447306)
渡辺 紀彦 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20375653)
廣瀬 晃一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90400887)
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キーワード | 気管支喘息 / IL-22 / アレルギー性炎症 / 気道上皮細胞 |
研究概要 |
気管支喘息は人口の約4%が罹患する重要なアレルギー性呼吸器疾患である。その多くは吸入ステロイドを中心とした既存の治療でコントロール可能であるが、5-10%が治療抵抗性の重症喘息であり、その病態の解明及び治療戦略の確立が急がれている。本研究では、重症喘息の病態に焦点を当て、喘息の重症化を規定する因子の同定とそれに基づく新規治療法開発の基盤構築を目的とした。特に近年、自然免疫と獲得免疫の両者で重要な役割を果たすことが明らかとなりつつあるTh17細胞に着目し、平成22年度の研究では、Th17細胞が産生する主要なサイトカインであるIL-22のアレルギー性気道炎症における役割を解析した。その結果、卵白アルブミン(OVA)で感作したBALB/cマウスにOVAを吸入投与し、肺胞洗浄液中のIL-22をELISAにて測定したところ、OVA吸入48時間後に肺胞洗浄液中よりIL-22が検出された。またIL-22産生細胞をFACS法、免役染色法により検討したところ、IL-22は主にCD4陽性T細胞より産生されていた。さらに抗IL-22中和抗体を腹腔内投与し、抗原誘発性気道炎症におけるIL-22の役割を検討したところ、抗IL-22中和抗体を腹腔内投与したマウスでは、肺胞洗浄液中の総細胞数、好酸球数およびIL-13、IL-17レベルが上昇し、また気道過敏性が亢進していた。また、マウス肺組織におけるIL-22受容体の局在を免疫染色法により検討したところ、マウス肺の気道上皮細胞上にIL-22受容体の発現を認め、IL-22刺激により気道上皮細胞においてSTAT3のリン酸化が認められた(論文投稿中)。以上よりIL-22は気道上皮細胞に作用し、抗原誘発性気道炎症を抑制することが明らかとなった。現在、IL-22による気道炎症抑制機構を解析中である。
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