1.高血圧、糖尿病におけるStrain Vesselの灌流組織領域の障害メカニズムについて検証する。 腎Strain vesselの灌流組織である腎髄質の尿細管はミトコンドリアが豊富であるため、ミトコンドリア酸化ストレスについて検討した。腎髄質尿細管のヘンレのループ太い上行脚を実体顕微鏡下で単離し、蛍光顕微鏡上の恒温チャンバー内で培養した。この尿細管を細いマイクロピペットで灌流し、尿細管内の糖やMG(糖尿病の病態に類似させる)、Na濃度、灌流量(高血圧の病態に類似させる)などの変化に対する尿細管機能に対する影響を観察した。尿細管内のglucose濃度、Na濃度および灌流量の上昇により、ミトコンドリア活性酸素および過酸化水素は増加した。これらはミトコンドリア電子伝達系complex1の阻害薬であるrotenoneやcomplex3の阻害剤であるAntimycin Aの投与により抑制されたことから電子伝達系の関与が示唆された。 2.高血圧、糖尿病におけるStrain Vesse 1の灌流領域に尿細管におけるメチルグリオキサールの役割。 MGの代謝酵素であるGlyoxylase 1過剰発現ラットの単離尿細管を灌流し、上述と同様に尿細管内のglucose濃度を増加した際のミトコンドリア酸化ストレスの反応を観察した。Glyoxylase 1過剰発現ラットの単離尿細管ではglucose濃度の上昇によるミトコンドリア活性酸素および過酸化水素の増加が抑制されていた。これらの結果から、高血糖による腎障害機序にカルボニルストレスの関与が示唆された。
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